暁の海に聞け――赤城毅の新連載 [小説/作家]
今日の東京は、雨から一転雪景色となりました。
朝の雨の冷たさに、もしやと思ったのですが……案の定。
これがもし一日早ければ、あの日の様子を再現したかのように
なっていたかもしれませんね。
事件ののち、日本の軍内部の構造はずいぶんと様変わりし、
政治への干渉がしばしば見られるようになります。よく「軍部の台頭」
という切り口で語られます。
もちろんこれ以前の経緯や、世界の事情もあってこそなのですが、
国内政治的にはこれをひとつの契機とする見方が多いようです。
さて、事件から五年が経ち、時は昭和十六年。
混迷の度を深める国際情勢は、太平の名を冠する大海原にすら
これを隔てることを許しませんでした。アジア・大洋州の権益をめぐり、
日本と米英蘭の対立は一層強まります。アメリカの対日禁輸政策に
より、全面戦争も時間の問題。
そんな危機的状況のもと、宮城では政府と軍首脳が一同に会し国策を
話し合う「御前会議」が執り行われていた――赤城毅の新作、
「暁の海に聞け」は、まさにこの御前会議から始まります。
普段から歴史や戦記に触れている私、こういう出だしを読んだだけで
もうたまりません(笑) それでなくとも密度の高い「濃い」文章
ですから、グイグイ引き込まれること間違いなし!
「暁の海に聞け」は歴史なのか、戦記なのか。それとも……?
作家にしてプロの研究者である赤城さんですから、どんな変化球を
投げてくるやら、わかりません。
祥伝社の月刊小説誌「小説NON」にて、3月号より毎月連載です。
どうぞご期待下さい!